命の洗濯
長らく続いた忙しき日々もようやくひと段落しました。少し時間に余裕ができたので、昨日は渇いた心を潤すべく久々にボウズハゼ達を観察してきました。今回はその事について書こうかと思います。
天気予報では曇り時々雨とのことでしたが予報は外れていい天気、絶好の川日和です。早速よく行く川に入ったのですが川床に大量の藻が… 魚影も薄く観察しにくい状態だったので急遽目的地を変更。こちらの川も中々見どころのある川なのですが、果たして私を歓迎してくれるでしょうか。
水中を覗くと沢山のナンヨウボウズハゼ達が出迎えてくれました。みんなで並んでお食事中のようです。3年前の7月に初めてナンヨウボウズハゼの雄を見たときは大変感動しました。沢山いるのを見ているとその感動が薄れがちになってしまいますが、それはなんだか勿体ないことのように思えます。
ナンヨウパラダイスを後にして上流に向かっているとなんだかぼんやりと赤い魚が見えてきました。
なんともやる気のない色をしたアカボウズハゼです。本気を出したアカボウズハゼの美しさはこんなもんではありません。燃え立つような赤、黒く染まった顔、青緑色に輝く背中。夏場なので色の出た個体がいないかと期待していたのですが、昨日はみんなこんな感じでした。残念。
やる気のないハゼあればやる気満々のハゼあり。木漏れ日の射す淵に目を遣ると真っ青な何かがビュンビュン泳ぎ回っていました。ナンヨウにしてはちょっと大きいし、第一背鰭が丸い…
そうコンテリボウズハゼです。先ほどのアカボウズハゼとは打って変わってやる気は十分なご様子。近くのナンヨウボウズハゼ達に雄雌関係なく猛アタック。仕舞いにはシマヨシノボリにも飛びついていました。餌場を独占しようとしているのか、それともハゼならだれでもオッケーなのでしょうか…黒に染まった鰭を広げてあっちに行ったりこっちに行ったり。忙しなく動き続けるので中々近くで写真を撮れませんでした。
一瞬落ち着いたのか、川床に留まってのんびりとしていたのでその隙に一枚。今年は複数の河川でコンテリを見ることができているのですが、この個体は今年見た中で一番綺麗に色が出ています。さて、このコンテリを追いかけながら写真を撮っていたら不思議なことが起こりました。
なんと何時の間にかコンテリボウズハゼが2匹になっていました。偶然にもほぼ同じくらいのサイズ。まるで分裂したかのようです。その後すぐに2匹は別々の方向に泳いで行ってしまいましたが、中々面白い光景を拝むことが出来ました。コンテリコンビに感謝です。
思わぬ光景を目にしてワクワクしながらさらに上流を目指して進んでいると再び青いハゼの姿が…まさか3匹目?
なんてことはありません。こちらは青いタイプのナンヨウボウズハゼです。コンテリに負けず劣らず綺麗ですね。ちょっと車で出かけるだけでこんな素敵なハゼに会える、沖縄島の環境はなんとも贅沢なものです。
ここまでは皆緩やかな淵の中の光景です。お次は瀬の中に目を向けてみましょう。瀬は淵と違って流れが速い上に水深も浅くて写真が撮りにくいです。おまけに瀬によくいるボウズハゼやルリボウズハゼは人が近づくと岩陰に逃げ込んでしまうので尚更撮りにくいです。彼らの綺麗な写真を撮れる方々はステルス機能を持っているのでしょうか?
こちらは岩陰に逃げ込んだルリボウズハゼ。人の心を知ってか知らずか、なんともあざとい上目遣いです。私は単純な人間ですのでイチコロにされてしまいました。
ルリボウズハゼは石の下から出てくれないようなので別のハゼを探していると、小石の上でナイスなポーズを決めているヨロイボウズハゼがいました。早速一枚写真を撮らせてもらいましたが逃げる様子はありません。サービス精神旺盛だなぁなどと思いながらもう一度シャッターを切ろうとした瞬間
ダイナミックに砂を巻き上げて何処かへ飛んでいってしまいました。失敗写真ですがこれはこれでなんだか味があるような気がして個人的には好きです。
久々にボウズハゼ達と戯れることができて心も体も生き返りました。明日から始まる9月も頑張っていけそうな気がします。