プリンセス・ゴビー
ヒメハゼ、可憐な響きです。その名の通り小さくて主張しすぎない控えめな見た目をした可愛らしいハゼです。しかし可愛い見た目とは裏腹に中々厄介な連中でもあります。何を隠そうこのヒメハゼ属、同定が難しい上に和名の無い種が複数いるのです。“頭がやや尖り、吻がやや短い、体がより細長い” やや?より?一体何のことやら、クソザコナメクジの私の脳みそでは初めはよく理解できませんでした。最近ようやく何となくそうかな…程度には思えるようになってきたのですが、それでもやはり自信はないです。
上の写真はヒメハゼ Favonigobius gymnauchen です。尾鰭基底の黒色斑が二又に分岐して横倒しのY字型になるのがパッと見で分かりやすい特徴だと思います(ー<こんな感じ)。この尾鰭基底の模様、人によってはミッキー型と言ったりします。
こちらはミナミヒメハゼ Favonigobius reichei です。本種の尾鰭基底の黒色斑はミッキー型ではありません。沖縄島で見られるヒメハゼ属の中では本種が一番多いと思います。写真の個体は地味ですがオスの成魚はかなり綺麗です。
3枚目はクロヒメハゼ Favonigobius melanobranchus です。尾鰭上縁に黄色で縁取られた黒色斑があるのが特徴です。全体的に同属他種に比べて派手な感じです。日本のハゼ出版時には国内では西表島のみに分布とされていましたが沖縄島にもいます。個人的に国産ヒメハゼ属の最美麗種はクロヒメハゼだと思っています。
尾鰭に入る紅白の斜体がチャーミングなこいつはヒメハゼ属の1種 Favonigobius sp. です。日本のハゼでは sp. 4 とされている奴です。日本のハゼで Favonigobius sp. とされていた5種類のうち先ほどのクロヒメハゼともう1種ツマジロヒメハゼの学名が確定しそれぞれ和名が付いたのですが、本種を含む残り3種は和名も学名もまだ決まっていないようです。これら3種の他にもヒメハゼ属 sp. は存在するようで、Y島の魚類相調査に載っていた奴とかが気になっています。
ところで、ヒメハゼ属って写真を撮ろうとしても鰭を開いてくれないことが多い気がします。今日載せた写真も4枚全て鰭が閉じているんです。鰭を開かせる魔法の呪文みたいなの無いんですかね?