イーブーの観察日記

ハゼを中心とした雑多な記録です

大波乱の西日本遠征 1日目&2日目

 今までは魚について書いてきましたが、ここらで私の遠征の思い出について書いてみようかと思います。しかし遠征の目的はもちろん魚なので、内容は大して変わらないかもしれません。遠征シリーズの記念すべき第一弾は2018年7月の西日本遠征です。

 

 2018年7月4日、私は重大な決断を迫られていました。予てより準備を進め、航空券もレンタカーの手配も済ませた矢先に発生した台風7号、すべて順調に進んでいた私の遠征計画は音を立てて崩れていきました。当初の予定では全て悪天候で潰れてしまう、しかし1週間延期したところで来週天気が良い当てもない。迷った末に選んだのは遠征の延長。講義をサボって帰りの飛行機を2日遅らせる、この選択が吉と出るか凶と出るか。

 

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眼下に広がる雲海 地上の荒天は微塵も感じられない

 そして7月5日、西日本が未曽有の豪雨に見舞われる中、飛行機は神戸に向けて飛び立ちました。雨雲を抜けて飛行機は雲の上へ、眼下には白い雲海が広がり空は晴れ渡る。この雲の下で大雨が降っていることなど微塵も感じられないほどの穏やかさでした。

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生まれて初めての神戸は私を歓迎してはくれなかった

 穏やかな雲の上から再び雲の下へ、窓には大粒の雨が激しく打ち付け、機体は風で揺れたものの何とか予定通り着陸。この遠征の行く末に不安を感じながら神戸空港に降り立ちました。預け荷物を受け取り、レンタカー屋さんの車で三宮の店舗まで移動。生まれて初めて見る神戸の街は雨で霞んでしまいほとんど何も見えませんでした。

 レンタカーを借りてから奈良に向けて東進。道中、甲子園球場大阪城などの名所の数々を目にして、悪天候で萎えていた心もちょっと高ぶりました。奈良につく頃には雨は多少和らいでいました。後日合流予定の知人と日程の打ち合わせ等をした後、目的の魚がいそうな場所を探してフラフラ。良さげな場所に着いたのは午後5時頃。小雨の中、降り続く雨の影響が無さそうな小さな側溝でちょっぴり魚を探しました。

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遠征最初の魚はタウナギ(外来魚)

 沖縄から遥々飛んできた私を出迎えてくれたのはタウナギ Monopterus albus でした。琉球列島では在来種であると考えられているようですが奈良では外来魚です。雨の中傘を差しながら片手で撮影したためとても残念な写真。この後も小さな側溝で軽く採集を続けているといよいよ遠征のノルマその1が現れました。

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遠征のノルマ1/5 シマヒレヨシノボリ

 シマヒレヨシノボリ Rhinogobius tyoni は小型の池沼性ヨシノボリです。ため池やワンドなどの流れの緩い場所に生息しています。沖縄や我が地元神奈川には生息していない種類で今回の遠征の目的の1つです。最悪の条件の中どうにかボウズだけは回避できたことに安堵しつつ、この日は眠りにつきました。

 

 7月6日早朝、激しい雨音に叩き起こされました。かなり強い雨のためしばらく動けず待機。雨が弱くなったので周辺を散策、近くに彼の有名な竜田川が流れていることを知り見に行くことにしました。

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ちはやぶる神代もきかず龍田川からくれなゐに水くくるとは

 和歌にも詠まれた竜田川は紅色ではなく茶色に染まっていました。予想はしていましたが中々ショッキングな光景でした。この後車内で雨が弱まるのを待ちつつ今後の予定を考えていたら、麻原彰晃の死刑執行という衝撃のニュースが飛び込んできました。その後、今日の天気では採集もままならないのでとりあえず寺巡りをすることに決めました。目的地は法隆寺と矢田寺です。

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矢田寺の紫陽花 雨が似合う花

 法隆寺は写真撮影禁止と看板に書かれていたので写真はないです。矢田寺の方は紫陽花が綺麗でした。小降りになってきた雨の中、紫陽花鑑賞を楽しんでいると衝撃的な光景が目の前に広がりました。

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水底に沈んだ散策路 濁流に飲まれた紫陽花

 豪雨によって地盤に浸透した水が斜面から染み出し、濁流となって散策路を飲み込んでいました。順路の看板に従って歩いていたら道が突然濁流になる。中々ない経験だと思います。この惨状を目の当たりにして、美しい紫陽花に浮かれていた私の心は未曽有の豪雨という現実に引き戻されていきました。

 寺巡りの後は夕飯を食べてこの日は早々に寝床に移動。翌日行く予定の琵琶湖の水位を確認して絶望感に包まれつつ就寝。多分2日目が一番テンションが低かったと思います。