アオバラヨシノボリ
沖縄には7種のヨシノボリ属魚類が生息しています。今日はそのうちの1種アオバラヨシノボリ Rhinogobius sp. BB を紹介します。
アオバラヨシノボリは沖縄島北部にのみ生息する固有種です。河川の中流域から上流域で見られ、一生を河川内で過ごす河川陸封型の生活史を持ちます。
私がアオバラヨシノボリに出会ったのは大学2年の頃です。栽培漁業センターの見学後に、せっかく北部まで来たのだから少し川を見てみようと思い、ふらっと立ち寄った川で初遭遇しました。初めて見た時の第一印象は‘‘清楚系ヨシノボリ’’でした。頬には模様がなく、体には透明感があります。
今まで10河川ほどでアオバラヨシノボリを見てきましたが、どの川のアオバラも個性豊かで見ていて飽きません。次はどんなアオバラに出会えるのだろうか、このワクワク感がフィールド開拓の原動力になります。
どの川のアオバラも優劣つけがたい魅力に溢れていますが、敢えて1番を決めるとすれば東海岸側の小さな川のアオバラが個人的には好きです。
アオバラヨシノボリは沖縄が世界に誇るべき魚です。しかし現在アオバラヨシノボリは絶滅の危機に瀕しており、絶滅危惧ⅠA類に指定されています。河川によっては多数のアオバラが見られる場所もありますが、ダム建設などによって個体数が激減してしまった例もあります。また知名度が致命的に低く、そんな魚が川にいるということを知らない沖縄県民は多数います。存在が周知されぬまま開発の波に呑まれ気づいた時には消えている、これほど悲しいことはありません。少しでもアオバラの知名度が向上しその行く末を気にかけてくれる人が増えることを願うばかりです。