イーブーの観察日記

ハゼを中心とした雑多な記録です

トントンミー

  最近、私の所属する研究室にベトナムからの留学生の方がやってきました。その方はベトナムや長崎でトビハゼの研究をしているそうです。これも何かの縁だと思うので、今日は沖縄のトビハゼ類、トントンミーについて書いてみます。

 沖縄でハゼを意味する言葉としては、ハゼ類の総称“イーブー”というのがあります。しかしこれとは別にハゼの仲間を指す言葉があります。それがトントンミーです。トントンミーとはトビハゼの仲間を意味します。そして沖縄には3種のトントンミーが生息しています。

 

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昼間はすぐ逃げるので寝込みをパシャリ こう書くと何か卑猥?

 1種目はミナミトビハゼ Periophthalmus argentilineatus です。沖縄で一番よく見るトントンミーと言えばコイツです。トビハゼと言うと干潟にいるイメージがありますが、ミナミトビハゼは漁港などの干潟以外の場所でも多数見られます。驚くとピョンピョン跳ねて逃げます。水中を泳ぐ姿はあまり見られず、器用に水面を跳ねていきます。

 

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内地ではまだ見たことがないので帰省ついでに見てみたい

 2種目はトビハゼ Periophthalmus modestus です。内地の皆さんにはこちらの方が馴染み深いことでしょう。 沖縄では沖縄島の限られた干潟にのみ生息しており、ミナミトビハゼに比べて個体数は圧倒的に少ないです。初めて実物を見るまでは、ミナミトビハゼと見分けなんかつくのか?と思っていましたが、実際に見てみると全然違いました。パッと見の印象として、ミナミトビハゼよりも小さいなと感じました。小さいもの好きの私としてはミナミよりも本種の方が好みですね。

 

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泥の中からこんにちは!

 3種目のトントンミーはトカゲハゼ Scartelaos histophorus です。3種類のトントンミーの中では最も個体数が少なく、2014年3月に本種の主要な生息地である中城湾で行われた調査における確認個体数は約900とされています。私自身、トカゲハゼは4ヶ所でしか見たことがなく、一度に見られた個体数も多くて数十匹程度です。湾内の各地で進む埋め立てによって生息環境が失われ、個体数が減少しているようです。最近もとある干潟で人工島の造成が行われ、前年までは見られたトカゲハゼの成魚が今年は見ることができませんでした。トカゲハゼの肩書きが “かつて沖縄島に生息していた” にならないことを願います。

 

 範囲を日本全国に広げるともう1種類トントンミーがいます。彼の有名なムツゴロウ Boleophthalmus pectinirostris です。私はまだムツゴロウを見たことがありません。そもそも九州本土へ行ったことがありません。ムツゴロウを含め九州には見てみたい魚が沢山いるのでいつか行きたいです。